20世紀イタリア美術の世界へようこそ。
								イタリアの近現代美術は、エトルリア、ギリシャ・ローマから中世、そしてルネサンスを経る膨大な美術史的記憶を抱えながら、印象派以降の美術運動においても極めて重要な役割を担っています。世界最大の国際美術展であるヴェネツィア・ビエンナーレを1世紀以上にわたって開催し、同時代の美術に常に大きな影響力を持ち続けてきました。
								20世紀という機械文明の幕開けにジャコモ・バッラやウンベルト・ボッチオーニらによって高らかに謳いあげられた『未来派』。背世界大戦の時代に不安と空虚な世界を描き、ブルトンらのシュルレアリスムに大きな衝撃を与えたジョルジョ・デ・キリコの『形而上絵画』。第二次大戦後においても、ルチオ・フォンタナの『空間主義』、ヤニス・クネリスらの『アルテ・ポーヴェラ』、サンドロ・キアやミンモ・パラディーノによる『トランス・アヴァンギャルディア』など枚挙に暇ありません。更にジャコモ・マンズーやマリノ・マリーニなどによる具象彫刻の豊かな実りがあり、また、静謐で清らかなファウスト・メロッティの抽象彫刻や、独自の芸術観で人生を駆け抜けたピエロ・マンゾーニの作品も忘れてはならない存在です。
								ふくやま美術館は開館当初よりイタリアの20世紀美術をコレクションの柱のひとつに位置づけ、その紹介につとめています。本展覧会では、ふくやま美術館の協力を得て、現代につながる20世紀イタリア美術の成果を紹介いたします。
								展覧会はイタリアの三色旗になぞらえ、3部で構成されます。
								第1部は「緑 ー 前衛と伝統」20世紀初頭の前衛運動とイタリアの伝統を感じさせる具象彫刻などを紹介します。
								第2部は「白 ー 無限の空間」次世代による禁欲的、観念的な傾向の作品を紹介します。
								第3部は「赤 ー 再燃する絵画」戦後生まれの作家たちによる情熱的な表現を紹介します。
							
これまでの展覧会の紹介
			
						 
							ミンモ・バラディーノ「アルカイオス」 1990年 ふくやま美術館蔵 
							 
							芸術の国イタリア。20世紀においても多くの芸術家が華々しく活躍しました。その豊かな成果をふくやま美術館のコレクションより紹介します。 会期 2005年9月30日(金)〜11月23日(水・祝) 主催/会場 八王子市夢美術館 特別協力 
							後援 イタリア大使館 イタリア文化会館 第1回ガスパール・カサド国際チェロコンクールin八王子前年祭関連事業  
							サンドロ・キア 「少女」 1981年油彩、パステル、紙、キャンパス  
							アルトゥーロ・マルティーニ「牛」
						【第1部 前衛と伝統】 
							ジャコモ・バッラ(1871〜1958年) 
							トリノ生まれ。機械やスピードを礼賛した「未来派」運動の代表的作家。 
							ジョルジョ・デ・キリコ(1888〜1978年) 
							ギリシャ、ヴォロス生まれのイタリア人。シュルレアリスムに影響を与えた「形而上絵画」を創始。古典への憧憬も示した。 
							アルトゥーロ・マルティーニ(1889〜1947年) 
							トレヴィーゾ生まれ。近代イタリア彫刻の父と呼ばれる。 
							ジョルジョ・モランディ(1890〜1964年) 
							ボローニャ生まれ。キリコらの「形而上絵画」の影響を受けるが、清楚で優雅な詩情ある静物画を数多く描いた。 
							フォルティナート・デペロ(1892〜1960年) 
							フォンド・ヴァルディノン生まれ。 動く彫刻、舞台装置なども手がけた。「未来派」の一員。 
							マリノ・マリーニ(1901〜1980年) 
							ピストイア生まれ。エジプトなどのアルカイックな様式を基盤に、独自のフォルムを生み出した。騎士と馬のシリーズが有名。 
							ジャコモ・マンズー(1908〜1990年) 
							ベルガモ生まれ。宗教的感情に満ちた彫刻で知られる。マリーニと並ぶイタリア具象彫刻の巨匠。 
							エミリオ・グレコ(1913〜1995年) 
							カターニュ生まれ。古代彫刻的な表現から優雅な具象彫刻を制作。 
							【第2部 無限の空間】 
							ルチオ・フォンタナ(1899〜1968年) 
							アルゼンチン、ロザリオ・デ・サンタフェ生まれ。少年代よりイタリアで美術を学ぶ。「空間主義」の主唱者。 
							ファウスト・メロッティ(1901〜1986年) 
							ロヴェレート生まれ。金属を用いた静謐な抽象彫刻で知られる。 
							アルベルト・ブッリ(1915〜1995年) 
							チッタ・ディ・カステッロ生まれ。布、木、鉄などの素材を用いた絵画で知られる。 
							ウーゴ・ムラス(1928〜1973年) 
							ポッジョレンゴ生まれ。多くのアーティストや文化人を題材とした創的な肖像写真で知られる。 
							ピエロ・マンゾーニ(1933〜1963年) 
							ソンチーノ生まれ。実験的な作品で若くして国際的に活躍したが、29歳で夭折。 
							ヤニス・クネリス(1936年〜) 
							ギリシャ、ピレエフス生まれ。「アルテ・ポーヴェラ」(貧しい芸術)と呼ばれたイタリアの美術運動の代表的作家。 
							ジュリオ・パイオリーニ(1940年〜) 
							ジェノヴァ生まれ。「アルテ・ポーヴェラ」の一人。視覚の基本構造を分析し、反復や二重のイメージなどをテーマに制作した。 
							【第3部 再燃する絵画】 
							サンドロ・キア(1946〜) 
							フィレンツェ生まれ。鮮やかな色彩で自由な絵画を描く。新表現主義「トランスア・ヴァンギャルディア」の一人。 
							ミンモ・パラディーノ(1948年〜) 
							パドゥーリ生まれ。歴史を背景とした象徴的な作風。「トランスア・ヴァンギャルディア」の一人。 
							エンツォ・クッキ(1950年〜) 
							モッロ・ダルバ生まれ。日常の現実を超えたイメージを作品化する。「トランスア・ヴァンギャルディア」の一人。 
							フランチェスコ・クレメンテ(1952年〜) 
							ナポリ生まれ。物語性に富んだイメージを強烈に描く。「トランスア・ヴァンギャルディア」の一人。 
							ブルーノ・チェッコベリ(1952年〜) 
							ペルージャ生まれ。ガロとともに戦後生まれのイタリアを代表する画家。 
							ジョゼッペ・ガロ(1954年〜) 
							ロリィアーノ生まれ。人物や馬、楽器などの題材を極端な比率で描く。 
							アルカンジェロ(1956年〜) 
							ベネベント生まれ。根源的、プリミティブなものに通じる精神的世界を描く。 
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							サンドロ・キア 「少女」 1981年
							アルトゥーロ・マルティーニ「牛」